リゾートマンションの再生に挑んだ勇士たち
そのころ、よくリゾートマンションの管理組合の理事長と話をした。
最初は、穏やかで紳士的な会話からはじまり、やがて話は本質へ向かう。
「なぜ、私どものマンションは売れないのだ?」
そのマンションだけで取扱件数17件……。
もう一つのマンションでは15件。
2棟で取り扱いは30件を超えていた。
今では考えにくいかもしれないが、当時は同じマンション内で大量の売却物件が並ぶことも珍しくなかった。
インターネットが普及して間もない頃だっただろうか。
当時の広告媒体といえば、まだ“紙”の時代である。
『住宅情報』、 『ほしいリゾート』。
いずれも、当時の不動産業界では大きな影響力を持っていたリクルートの媒体であった。
理事長たちは、その書籍を手にして言う。
「ほかのマンションは売れているのに、なぜ、わがマンションは売れないんだ」
そこには、単なる不満ではなく、切実な焦りがあった。
一定の需要はある。 しかし、供給が多いのである。
売り物件が次々と出てくる。自然に価格破壊の原理となる。
当時は、まだバブル崩壊の傷跡が色濃く残っていた時代でもあった。
今思うと、あの頃は―― バブル崩壊を耐え抜いたファーストオーナーから、
次の時代を担うセカンドオーナーへと移り変わる、大きな転換点だったように感じる。
そして、価格的にも、この辺りが“底値”だったのではないかと思うのである。
だがその一方で、買い求める人たちもいた。
海を眺める時間。
温泉のある暮らし。
都会にはない静けさ。
販売価格に対してオーバースペック
管理費は割高。
それでも、その環境に価値を見出す人たちがいたのである。
そうした価値を求め、静かな伊豆へ住み始める人や、
純粋にリゾートを求める人たちが、徐々に戻り始めていた。
つづく
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