ホテル一体型分譲マンションというスタイルのものがあった。
ホテルの中に一部、マンション(区分所有)の部屋があるものなのだが、
マンションで所有されている方もホテル設備が宿泊者と同様に利用できるので、当時は非常に人気があった。
そのオーナー様と部屋に同行したときのことだ。
入口はホテルの正面ロビー。
当然のようにフロントで受付を済ませる。
すると――
後ろから、フロントのマネージャーらしき方が走ってこられた。
「●●様、ご無沙汰しております!」
空気が一瞬で変わった。
さっきまでの“ホテルの受付”ではなく、完全に“お迎え”の空気だ。
名前で呼ばれ、軽く頭を下げるだけではなく、わざわざ足を止めて言葉をかけてくる。
そのまま自然に、エレベーターまで案内されたのである。
特別扱い、というと少し違う。
どちらかというと、“古くからの友”に対するような距離感だった。
あとからわかったのだが、マンション所有者は“オーナー様”という扱いになるらしい。
客でもなく、住人でもなく、その中間のような立場。
この“立ち位置”が、このタイプの物件の独特な空気をつくっているのだと思う。
ホテルとマンションが一体となった、少し特殊なケースではあるが、
リゾートマンションで余暇を過ごすということの、ひとつの理想形を見たような気がした。
まるで、プリティ・ウーマンに出てくるホテルの支配人のような、
さりげない気遣いが感じられる光景だった。
つづく
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